【ヴァン・ナチュールvin natureってなに?】


ワイン愛好家のあいだで、このところ耳にすることが増えたヴァン・ナチュールvin nature(ナチュラルワインまたは自然派ワイン)というワード。フランス語でビオBioや、ビオディナミBiodynamieという言葉も飛び交います。はたして一般的なワインと何が違うのでしょうか?

まず、「ビオ」。これはいわゆる有機農法のことです。スーパーなどでも、有機(オーガニック)栽培の野菜を見かけることも多いと思います。栽培時に除草剤や殺虫剤などの農薬や、化学肥料を使わず、自然に近い状態で作物を育てることを指します。ヴァン・ナチュールは、基本的にこういった有機栽培のブドウを使って作られます。

 

さて、次は「ビオディナミ」です。ビオbio+ディナミックdynamique(英語ではダイナミックdynamicですね)でビオディナミ。いったい何を指すのでしょう?

ビオディナミというのは、有機農法を踏襲したうえで、太陰暦や天体の運行を農作業に取り入れた方法を言います。地球上の植物は天体の動きに影響を受ける、という考えが前提にあり、ブドウの木をはぐくむテロワールは、土地や気候のみならず、宇宙をも含むという考え方なのだそう。そのため、種をまく、剪定、収穫、ボトリングなどの日時は月の運行をみて最適な日が選ばれ、肥料も牛の角と糞を使って手作りされるなどの特徴があります。

 

  

ボージョレ地方の生産者ミシェル・ギニエMichel Guignierさんは、この農法を取り入れているひとり。隣地からの農薬の影響を避けるために広大な耕作地の一部のみを用い、可能な範囲で馬を使って耕しているそうです。収穫も手摘みが大原則です。

こうして手をかけて育てられたブドウは、摘み取られたあとは、逆に人為的な作業を必要最小限にしてワインへと醸されていきます。酵母の添加やろ過などもせず、ブドウとそのテロワールの力を信じつつ、人は注意深く見守るわけです。

こうしていわゆるヴァン・ナチュール(自然派ワイン)が生まれます。生産者の膨大な手間と気配り、そしてなによりも自然へのリスペクトに裏打ちされたワインなのですね。

 

これからの季節、ピクニックのおともに、そしてテラスでの語らいに、ヴァン・ナチュールはぴったりかもしれません。さわやかな風と緑のなか、そのやさしい味わいを感じてみませんか?

    






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