フランスではアルファベットのままテー・ジェー・ヴェーと呼ばれ、長い間親しまれてきました。
さて、そのTGVが、この度呼び名が変わるとか変わらないとかで、メディアやネット上で一時大騒ぎの事態に。フランス国営鉄道SNCF側の、ちょっとあいまいな発表が発端となったようですが、フランス国民のTGVへの愛着の高さがうかがい知れます。
SNCFによると、高速鉄道TGVの新しいあり方を再検討、改善をし、その「サービス」に対してInOuiイヌイと命名。車両をリノヴェーションして、2017年末までに80%の車両をWi-fiアクセス可能にするほか、車内のバーやその他の娯楽設備の充実を促進。車掌は、これまで多くの時間を割いていた切符の確認を取りやめ、乗客のサービスに力を入れるのだとか。今後、約5000人の人員に対し、乗客サービス向上のための研修を予定しているのだそうです。
それに対し、いわゆるローコスト版の運行サービスOuiGoウィゴーはすでに創設され、今後路線の拡大が計画されているとのこと。顧客がサービスの多寡や質と価格に応じて、チケットを選択できるようになるようです。
「今度のパリ行きのTGV、InOuiで取る?OuiGoにする?」
そんな会話が交わされるようになるのかもしれませんね。
これらののネーミングにはさまざまな思いが込められています。
Ouiにはフランス語でYesの肯定感が、InoにはInnovationイノヴェーションを想起させるものが、また同音語のinouïという形容詞には「驚くべき、前代未聞の」という意味があるのです。そしてOuiGoはもちろん英語のWe goにかけた躍動感、といったところでしょうか。
そもそもこの改変は、SNCFの顧客獲得のための一大戦略。飛行機やカーシェアリングに奪われていた顧客をとり返し、2021年に予定されている新規参入事業者との競争に打ち勝つことが最大の目的なのです。
来る7月2日には、車体にInOuiのマークをつけたTGVが、パリ、ボルドー間の運行を開始する予定。現在3時間14分かかっている行程が、なんと2時間4分に短縮されるのです。ボルドーまでの日帰り旅が、十分可能になりますね!
テー・ジェー・ヴェーの呼び名に慣れ親しんだフランス人にとって、この新しいI呼び方は、今のところ極めて不評のようですが、さてこの戦略が吉とでるか凶とでるか、見守っていきたいですね。
*写真はイメージです