
こちらは、クロード・モネが描いたエトルタの風景画です。この地域は18世紀中ごろまでにあまり人々に知られていない場所でしたが、ブータンやクールベが描くことで徐々に知れ渡り、その後モネが繰り返し描いたことで有名な景勝地になっていきました。
モネのエトルタでの制作期間は1868年から1886年までの間の6回、彼はあまりにも制作に没頭し、波が打ち寄せていることにも気付かずに命の危険にさらされる程の集中ぶりだったそうです!

風景の光や影にこだわったモネは、同じモチーフに異なった時間に向き合いました。5,6枚のキャンバスを空の変化に従って交互に取り上げ、光の効果を再現したのです。モネの絵に感化されたポール・シニャックやマチスも後を競うようにエトルタの崖を描きました。画家の心を次々に魅了したこの景色...訪れて退屈なはずがありません!

海に向かって左側、町の南側に位置するのがモーパッサンが「象の鼻」と称したアヴァルの断崖、町の北側に位置するのがアモンの断崖で、どちらの崖の上も散策することができます。崖を遠景から見渡すのも素晴らしいですが、青い海と白い崖のコントラストや打ち寄せる波を見下ろすのもまた違った趣です。モネが制作に夢中になったこともうなずけます。

アモンの断崖の高台には、こんな素朴な教会も建っています。ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド礼拝堂。この教会はノルマンディーの船乗り達が材料を担いで運んだとされています。
またこの崖の上には庭園があり、現代アートも展示されています。今年の5月18日~10月31日までは、現代彫刻の展示会が催され、世界各地から集まった25の彫刻作品がエトルタ庭園に集まります。エトルタという自然界が作り出した奇岩の彫刻の上で、人間の手によって生み出された彫刻作品を楽しむ...めったにできない体験ですね。

エトルタは、モーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」の小説の舞台にもなりました。小説に登場するエギュイユ(針)島はアヴァルの断崖近くにあります。この地で生まれたルブランの生家は、「怪盗ルパンの家」として公開されています。盗品の美術館コレクションもなかなか味わい深いこの場所…ルパンの家も併せてエトルタの街や景色を存分にお楽しみ下さい!
*モンサンミッシェル・専用車で印象派の世界を訪ねる旅はこちらまで!
*ノルマンディー地方白い岸壁のエトルタまで足を運ぶ旅については、こちらをどうぞ。