パリ ・ノートルダム大聖堂(キマイラという説もあり)
真っ先に思い浮かぶのが、パリのノートルダム大聖堂のガーゴイル。ガーゴイルはもともと、教会の壁面に突き出した形で取り付けられ、雨どいの役割を果たしています。雨で壁面を濡らすとその壁材を侵食してしまうので、建物が傷まないように、雨水を集めて離れた場所に放出しているのです。
この雨どいのガーゴイルは、12世紀以降のゴシック建築に用いられました。高く急な勾配の屋根をもつゴシック建築は、雨水が勢いよく流れてしまうため壁の侵食を防ぐことが必要でした。雨どいを裏に隠すのではなく、デザイン性をもって取り付けたのです。
パリ・ ノートルダム大聖堂のガーゴイル
また、その昔セーヌ川にガルグイユと呼ばれる人間を困らせるドラゴンがいたという言い伝えがありました。このガルグイユ、川に住み嵐や洪水を起こしたり人を食べたりしていた怪物だったのとこと。「水」という共通性から雨水を流す像もガーゴイルと呼ばれるようになりました。
ちなみに雨どいの機能を持たない石像もあります。たとえば、ノートルダム寺院の鐘塔の上に据えられた獣は、ガーゴイルと紹介されることも、キマイラ(キメラ)という怪物と区別されることもあります。この悪魔のような怪物も雨どいのガーゴイルが由来となってできた石像です。
メッス・ サンテティエンヌ大聖堂(Cathedrale St. Etienne de Metz)
竜や奇怪な動物の形をしているガーゴイルですが、時に人間の形もあります。これがまたグロテスクでなんともいえない表情です。耳を閉じていたり、何かを叫んでいたり。。。人間のガーゴイルは自らの罪を外に放出する存在とも考えられる一方で、人間に悪の道に外れないよう警告を与える存在とも言われています。目をそむけたくなるのは、ちょっと日ごろの堕落した自分?なのでしょうか。
ボルドー・ サンタンドレ大聖堂(Cathédrale Saint-André de Bordeaux)
カルカッソンヌ・ サンナゼールバジリカ聖堂(Église Saint-Nazaire)。苔に覆われ不気味さが際立つ。
話はノートルダム大聖堂のガーゴイルに戻りまして。昨年の春の火災でガーゴイルは無事だったの?と気になる方もいらっしゃるでしょう。実は、当時修復中であったためガーゴイルは聖堂から取り外されていました。その4日後にあの火災が起こったのです。気味の悪い見た目から、悪霊や災厄払をするとも考えられているガーゴイル、この出来事を振り返ると、ずっと大聖堂を守る守り神であったともいえます。
メッス、パリ、ボルドー、カルカッソンヌ…少しずつフランスのガーゴイル巡りをするのも粋ですね。フランスだけでなく、イタリアのミラノ大聖堂のガーゴイルも一見の価値ありです。
現在コロナウィルスが世界で猛威を振るい、ちょっと不安な日々でもあります。ウィルスの災いを世界から追い払ってくれますように!そして皆様の旅の安全を見守ってくれますように、と世界のゴシック大聖堂のガーゴイル達に向かってそっと手を合わせるのでした。
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