【ボージョレ・ヌーヴォー解禁まであと70日!】


11月の第3木曜日」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?

そう、今では日本でもすっかりおなじみになった、ボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauの解禁日です。日一日と秋めく今日この頃、早いもので今年もおよそ70日に迫りました。

この初物のワインが、日本に一大ブームを巻き起こしたのは1980年代後半から90年代にかけて。それまでワインを消費する習慣のあまりなかった日本人に、「赤ワイン」を根付かせ、同時に「ワインで乾杯!」というカジュアルな楽しみ方をもたらしてくれました。嗜好の多様化が進んだ昨今でも、日本はボージョレ・ヌーヴォーの最大の輸入国であり続けています。


さて、そのボージョレ・ヌーヴォーですが、消費量のわりに意外に知られていないことが多いのではないでしょうか。

解禁日に一斉に出荷されることから、あたかも大量生産品のように思われることもあるようですが、その実とても手間がかかっているのです。ボージョレのブドウ畑は谷間にあることが多く、機械が入りにくいことから、その多くが手摘みで収穫されています。また、単一のセパージュ、ガメイ(Gameyガメ)のみで作られるので、ブドウの出来こそがすべて。摘み取り(Vendangeヴァンダンジュ)の時期の見極めが非常に大切なのだそうです。





そうして摘み取ったブドウの実は、皮ごとつぶさずに醸造桶に入れられ、伝統的な手法(マセラシオン・カルボニークMacération carbonique)で醸されます。ガメイ種のフルーティさを最大限に引き出すために、発酵のステップは十分に監視され、徹底した温度管理がなされなければなりません。

なにしろ、若い新酒であることがボージョレ・ヌーヴォーの最大の意義。ブドウの果実味が最大限に発揮されたタイミングを見計らって発酵はストップ。それこそが、生産者の腕の見せどころ、といったところでしょうか。かくして新酒は瓶詰され、大切に、そして大急ぎで運ばれ、乾杯のテーブルに並ぶのです。

ボージョレ・ヌーヴォーをして、「軽い」「味が薄い」と評価する向きもありますが、それは同時に「フレッシュ」であり「爽やかで飲みやすい」という新酒の特徴そのもの。フランスではVins de copains(ヴァン・ド・コパン=友だちのワイン)と称されるなど、気軽に楽しまれています。また、ボージョレ地区で収穫されたブドウで、「ヌ―ヴォ―」として出荷されるのは約3分の1ほど。ブルゴーニュ地方のそのほかのワイン同様、十分に管理され、時を経て出荷されるボージョレもあるのです。

産地にほど近い美食の町リヨンLyonで、古くから地元レストランで飲まれていたのは、もっぱらボージョレでした。リヨン産のシャルキュトリ(豚肉製品)と合わせてカジュアルに、時には最高級の「ブレス鶏」のクリーム煮に合わせてシックに。そして牡蠣との驚くべきマリアージュ。地元の人はそのポテンシャルをよく知っています。


「Le Beaujolais nouveau est arrivé ! ボージョレ・ヌーヴォーがやってきた!」

広告のキャッチコピーのように思われているこのフレーズも、レストランが掲示して、客に知らせたことに端を発したとの説もあります。新酒到来の高揚感と、今年も無事にそれを味わえるよろこび。1年のそのひと時を分かち合う、素敵な習慣ですね。

今年の解禁日は1116。なんだかとても楽しみになってきました。

    






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