年間およそ700万人ものツーリストを集める、パリ随一の観光スポット、エッフェル塔。
「鉄の貴婦人」とも呼ばれるそのエッフェル塔を、防弾ガラスで守ろうという案が出たのは昨年のこと。これを巡っては、賛否両論さまざまな意見が飛び交いましたが、フランスの日刊紙ル・フィガロLe Figaroは、工事の第一段階が月曜日(9月18日)に着工されたとことを報じました。壁の設置が始まるのは来月5日頃となるようです。
大切なパリの観光資産と観光客の安全を守るこのガラスの壁は、景観を壊さぬよう限りなく透明に近いガラスで、高さ約3メートル。塔の南北、ブランリ通り(quai Branly)とグスターヴ・エッフェル通り(av. Gustave-Eiffel)に沿って、張り巡らされる予定です。一方側面にあたる東西の歩道には、エッフェル塔を彷彿とさせるフォルムの金属の格子塀を設置。塔の高さ324メートルにちなんで、塀の高さは3.24メートルにするのだとか。
これにともない、複数個所にガラス張りの詰所も置かれ、入場者のコントロールを強化。出口は一方通行のガラスの回転扉で管理される予定です。
「エッフェル塔が閉じ込められちゃう」
「壁のことなら、トランプさんに相談したら」
など、ネット上でも皮肉の利いたコメントで大いに盛り上がりましたが、それもこれも、パリ市民、ひいてはフランス国民の、エッフェル塔への愛着心の裏付けと言えそうですね。
約2000万ユーロ(約24億円)ものこの一大プロジェクトを託されたのは、オーストリア人建築家、ディートマー・ファイヒティンガーDietmar Feichtinger。パリに事務所を構え、フランス国内でも多くの作品を手掛けています。代表的なものには、2006年完成のシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋(パリ)、そして2014年完成のモン・サン・ミッシェルの桟橋も、記憶に新しいところです。きっと、パリの貴婦人も、美しくそして機能的にガードしてくれるのではないでしょうか。
パリのシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋
この桟橋もファイヒティンガーの作
