
ロンシャン礼拝堂のエントランス
ここは、第2次世界大戦のさなか、ナチスドイツからの解放時に礼拝堂が破壊されたことをきっかけに、依頼を受けたル・コルビュジエにより再建されたものです。彼は、ロンシャンの美しい自然に感動し、「その場所に語り掛ける言葉」として、礼拝堂をデザインしたといいます。
この礼拝堂は、当代一流のクリエーターによる作品に出会えることが、まず大きな魅力です!敷地内にはコルビュジエが関わった3つの建築物だけでなく、世界のセレブがこぞってコレクションをするデザイナージャン・プルーヴェ作による鐘楼、イタリアの高名な建築家レンゾ・ピアノによる聖クララ修道院、案内所などもあります。

緑色のガラスに刻まれた「海(La mer)」
ロンシャン礼拝堂はカニの甲羅をかたどったような独特の形状、丸みを帯びた外観、コンクリートと石灰で仕上げられた白い壁が印象的です。
そして、建物の内部の採光もとっても趣があります。建物に対して不規則に正方形に切り取られた「光の窓」は、緑や黄、赤、青色のガラスがはめ込まれています。光が射し込む日には何色もの光が礼拝堂の中に届いてより神秘的な空間を作り上げています。
オレンジ色のガラスに刻まれたのは「朝の星(Étoile du matin)」の文字、これは、聖母マリアを讃えているそう。この詩的な空間には、コルビュジエがデザインしたベンチや祭壇、説経台が並んでいます。建物、採光、調度品…ここには丸ごとコルビュジエの祈りの世界が広がっていて巡礼者も観光者も優しく包み込んでくれます。

ル・コルビュジエは「近代建築の5原則」を提唱しています。しかし、その中の「ピロティ(1階部分が柱のみの外構空間)」「屋上庭園」「水平連続窓」などの要素はこの礼拝堂には含まれていません。むしろ彼の自由で大胆な発想で作られていて、そこには近代建築の新たな可能性を追求したコルビュジエの姿がありました。
また、礼拝堂の奥に旧従軍兵士の依頼で建てられた「平和のピラミッド」や礼拝堂の壁には、第2次世界大戦で破壊された旧礼拝堂の石が使用されました。地元の人々の当時の悲しみに寄り添う気持ちや平和を願う気持ちも詰まっていて、その深い思いが礼拝堂の厳かな空気に繋がっています。

雪の日の礼拝堂。南側の窓(右側の側面)にアットランダムに切り取られた窓が見える。
コルビュジエの作品、レンゾ・ピアノの作品、それぞれが作られた年代は違いますが、ロンシャンの緑豊かな自然と一体になって、ハーモニーをもって佇んでいます。建築ファンならずとも、心奪われる近代建築の傑作です。是非コルビュジエが語り掛けた言葉に耳を澄ませてみて下さい!
☆関連ツアー
*フランスの最も美しい村を訪ねて|ジュラで黄ワインとブザンソンの古城巡り(フランシュ=コンテ地方を訪れるツアー)
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ご希望に応じてこのツアーに「ロンシャン礼拝堂」を組み込むことも可能ですのでお気軽にご相談下さい。