特にもともとアメリカの大富豪で美術蒐集家として有名なアルバート・C・バーンズの財団(フィラデルフィア)に飾るために創作された“Dance”(ダンス)の2つの三連幅の壁画は一見に値します。
マティスは1931年まで、このような大きな作品を手がけたことはありませんでした。バーンズはマティスがいたニースに巨大なキャンバスを届け、作品制作に多大なる権限を与えました。マティスは他の壁画制作者と異なって、キャンバスに直接、描いていく手法を取りました。その過程では、はしごや竹の棒の先に取り付けられた木炭が利用されました。また、彼は雛形として巨大な切り紙絵を使用し、様々な異なる色を試験的に試してみたりしました。このアイデアは後の切り紙絵の作品群へと発展していきます。
1932年にDanceIが完成します。
マティスは出来上がった壁画をバーンズに送ろうとしましたが、その過程で壁画の寸法が間違っていたことに気づき、再度、正確な寸法で一から製作を開始し、1932年にまったく新しい壁画(DanceII)が完成します。
パリ市立近代美術館の地下一階では、DanceIを見学することができます。

ニースのマティス美術館では切り紙絵の作品を見学することができます。

パリ~ニースへマティス作品の軌跡を追う旅にでかけてみませんか?