映画『ル・アーブルの靴磨き』 アキ・カウリスマキ監督


『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』や『過去のない男』 『浮雲』  などで知られるアキ・カウリスマキ監督。シニカルな笑いと人々を見守る優しさが印象的な監督です。

ルアーブルの靴磨き


今回はフランスのノルマンディー地方・パドカレ地方を舞台とした作品です。
その名も、『LE HAVRE』(邦題:ルアーブルの靴磨き)

(あらすじ)靴磨きをしている主人公は、ある日、アフリカからの不法移民の少年と出会います。
ちょうどその頃、主人公の奥さん(外国人)は、不治の病を患ってしまいます。
少年がロンドンへ行くのを手助けしようと、知人たちの協力を得ながら、警察に見つからないよう画策するストーリー。
アフリカから来た少年は無事にイギリスへ逃れることが出来るのか、主人公の家庭はどうなってしまうのか、が見どころです。


移民と警察 フランス


ル・アーブルをはじめ、カレーやダンケルクなど、北フランスの海沿いの町は、アフリカからイギリスへ逃れようとする移民の中継地点となっています。移民キャンプが海岸沿いにあり、時々新聞に取り上げられています。このフランスの北端で、移民管理局に捕まってしまうと、アフリカへ強制送還されてしまいます。「勝手に移民をする方が悪いのでは」と思う人もいるかもしれませんが、中には、無差別に「本国に帰ると処刑されてしまう」というケースもあります。そのためフランス国内では、フランス警察に従って移民を引き渡すのが良いのか、移民を逃してあげるほうが良いのか、意見が分かれるところでもあります。

北フランスでは、人道的な面から、移民を支援しようとする立場の人が多いようです。外国人と所縁のある人の方が多数派なで、そのことも世論に影響しているのかもしれません。映画でも、主人公の奥さんは東ヨーロッパ系の外国人です(フランス語に訛りがあります)。現在は、「親戚に外国人が1人もいない」という家族の方が珍しいのです。

また、「警察」が日本と違って「人々を脅かす存在」だということも、この映画を観るとよく分かります。警察官は親切な「おまわりさん」ではなく、市民を見張る「監視員」として描かれています。(映画とは関係ありませんが、フランスで親切なのは「消防局員」です) 

レトロな町 ル・アーブル?

さて、最後に、映画の中の「車」について。
この映画に出てくる車は、カウリスマキの描くヨーロッパらしく、レトロなバス、タクシー、自家用車。
ですが、いくら田舎町でも、このような車はあまり走っていません。バスはカラフルな車体で大きな窓、タクシーはハイブリッドカーです。現代的な建物や車が出てくると映画の雰囲気が台無しなので、演出のために古い車を使っているのだと思います。ノルマンディーにお出かけの方、フランスはそこまでレトロではないので、ご安心下さい!

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