リヨンの伝統を語るなら、「美食」というキーワードを忘れることはできません。1935年にはすでに、フランスの著名な料理評論家が、リヨンを「美食の都」と称しています。
さあ、今日はその所以を探ってみましょう。
古く中世後期から、リヨンは交易の町として栄えました。年に4回行われる見本市のたびに、町はフランス各地や隣国イタリアからの行商人で溢れかえったと言われています。
オーベルジュAubergeと呼ばれる食事つきの宿が発展したのも、リヨンに様々な農産物が集まったのも、当然のなりゆきですね。
16世紀には、偉大なる人文学者ラブレーRabelaisが、この町の「美食」にインスパイアされ、『ガルガンチュワとパンタグリュエル』の一節を書いたとも言われています。
のちに絹産業の振興とともに根付いたブッションBouchonは、もともとは織物工たちが小腹を満たすため、昨夜の残りものといった簡単な食事をとりながら語らう、憩いの場だったと言われています。
絹産業は残念ながら斜陽となりましたが、ブッションはいまや伝統的レストランとして、リヨンの美食文化を伝える大切なファクターとなりました。
豚肉を使ったシンプルな料理とボージョレやコート・デュ・ローヌといった地域産のワイン。そして陽気な語らい!これが言うなれば”正統派”のブッションの楽しみ方です。
*写真はイメージです
リヨンの伝統料理としてひとつだけおすすめするとすれば、ぜひ「クネルQuenelle」をお試しあれ。
カワカマスのすり身をベースにした、いわばはんぺんソーセージ。それを濃厚なホワイトソースや、ザリガニバターソースでいただきます。スパイシーで力強いコート・デュ・ローヌがぴったりです。
明日はリヨンを語る際に欠かせない、ゆかりの人物を探してみましょう。