10年ほど前には100店舗程しかしかなかった日本食レストランがいまでは1000軒をこえるとのこと。
それも昔は日本人が集まる市内中央部に多くありましたが、いまではパリの郊外の住宅地にも進出しています。
私が始めてパリに行ったのは1985年、ちょうど25年前でしたが、当時東京銀行があったサンタン通り界隈に数軒ある程度でした。お客さんもパリの駐在員と日本人観光客だけだったような気がします。まぁ昔の話ですがフランス人の姿を店内で見た記憶はほとんどありません。
このレストランは店名が??だが、料理はしっかりしているらしい。
それがなんと今では1000軒以上とは・・・、まさに隔世の感です。
なので日本食が恋しくなり、サンタン通り界隈にいくと少し前までは並ばずには入れたものが、いまでは長蛇の列です。混んでいる時間に人気店に行くと1時間待ちかな? これじゃ日本の超有名ラーメン店と変わらない。
特にフランス人(欧米人も)はすすって食べることになれていないのか、ラーメンやうどん1杯食べるのに30分以上費やしています。これじゃ回転が悪くて列ができるわけです。お店の営業もにも影響が・・・、これだけはやっているから問題ないか。
さぬきうどんの専門店。かなりうまい。
昔から通っていたのに入るのにも一苦労。
問題はこのブームに便乗して、日本人以外の人がばたばたと日本レストランを開業したこと。中には数日前までベトナム料理店だった店が、いきなり「レストラン 京都」なんて名前に変わっています。多分日本料理の修業無しで、料理本でもさらりと読み込んで開店したのか、外に張り出しているメニューも誤字だらけで何が出てくるか分かりません。日本食を知っている我々には脅威、いや恐怖です。
これが典型的な「エセジャポ」 青い看板の文字を修正した跡がわかる。
もしヘンテコな日本料理をフランス人が食べて、これが日本料理か!! やばい料理だ!! と錯覚し偏見をもたれると折角のブームも台無しです。とはいっても法的に規制するわけにも、今は野放し状態ですが自然淘汰を待つよりバッドイメージが広がるのが怖いです。
日本の街の名前系のえせジャポ。さすが味にうるさいフランス人。
数軒先の日本人経営の店前は長蛇の列だがここは閑散としていた。
ちなみにフランス在住の日本人の中ではこのような怪しい日本料理店を「偽ジャポ(えせジャポ)」と呼んでいるようで、その特徴は日本の地名を店名に使っているケースが多いとの事。中にはもろに「スシ ハワス」まど間違った看板を掲げている店もあります。
と、このような状況なので日本政府出張機関の提案で、「本物の日本食料理店」組合なるもを結成し、加盟店には「モンモノである」といったステッカーを交付し玄関口に貼る運動を展開したそうですが、賛同者がすくなく40軒あまりと尻すぼみの状態のようです。
これが肝いりでつくられたステッカー。何が本物か、と尺度が客観的合理性を持たないと日本人が作れば「公認」ということになりかねない。やっぱ閉鎖的な国民性なのかな?日本で日本人シェフがつくる最高級のフランス料理(個人的には本場フランスよりうまい店が多いと思う)が、「えせフラ」と呼ばれていいのか、と。でも「えせジャポ」はかなりえぐいなー。
経済的には下降気味の日本ですが、日本文化を代表する「ヘルシーな和食」が海外で大いにブームになることは誇らしいことです。しかし、えせジャポが隆盛するようではあの有名なグレシャムの法則「悪化が良貨を駆逐する」になりかねません。