なぜなら、その建造物があまりに素晴らしく、緻密な計算の上で設計されており、また迷路のように構造が入り組んでいて、私には到底うまく解説できません。
専門的な説明はHPや専門知識に優れた多くの人々がインターネット上で的確に解説して下さっているので、そちらににお任せいたします。
それはイタリアで建築を勉強しているお友達がリヨンに遊びにきた時の話。
”たしか、リヨンにコルビュジエの造った修道院があるはずなんだけど、知ってる?”
”え?!そうなの?リヨンにコルビュジエの建築物があるなんて知らなかったよ。リヨンに住んでて行かなかったら絶対後悔するね。行こうよ行こうよ。”
と、興奮していたわりには何も下調べをせず、あまっちょろいノリで出発が決まりました。
ピクニック気分で午前中にマルシェでお昼を買い込み(マルシェの回に登場したのエンパナーダです)、とりあえずリヨンの郊外に出る電車の発着駅、Gare de St Paulへ。(こちらも以前クロワッサンの回にも登場したのあの駅です。)
切符売り場のおにいちゃんに
”ラ・トゥーレットへ行きたいんだけど、どこで降りれば良いの?”と、聞くと
”そんなの知らないよ、なに、ラ・トゥーレットって?”
そう、修道院という単語を知らなかったのです。ああ、恥ずかしい。
まんまと出ばなをくじかれてしまいました。
こんなの、東大寺に行きたいのに、東大に行きたいって奈良駅で言ってるのと同じです。通じる訳ありません。
”ほら、コルビュジエってスイス出身のものすごく有名な建築家が造った建物。リヨンの郊外にあるって聞いたんだけど”
と、根気よく説明し、他の駅員さんにも聞いてもらい、
”C'est le couvent de la tourette.あ~、ラ・トゥーレット修道院ね。”
そう、修道院ってle couventってフランス語で言うんです。
”L`Arbresleでおりなさい、マドモアゼル。”
そこにいた駅員さん達は一段落という感じで喜んでくれていたけれど、多分内心あきれていたはずです。
まぁ、なにはともあれ、良かった良かった。やっと到着駅が判明、一安心。
そしてようやく出発。St Paul駅からはTGVでもメトロでもないTERという国鉄電車に乗り、まるで”世界の車窓から”のようでちょっとわくわくしました。
この駅は見かけもクラッシックでかっこ良く、以前から目と鼻の先に住んではいたものの、利用する機会が無かったので、初めて利用するにあたり、これまた嬉しかったです。
ガタゴトガタゴトゆられ40分、L`Arbresleで下車すると、
”うへ~、何も無い。歩くんかね?”
そりゃそうです、駅前に修道院を建てる訳ありません。
”ラ・トゥーレット修道院へはこちら”という標識を頼りに、どれくらい歩くかもわからず、ただ歩きました。トボトボと。
文字通りトボトボ歩いても歩いても着かない。15分歩いても着かない。そのうち周囲も田園風景にかわり、車も人も通らず、牛なんかも現れてきちゃって心細くなってきました。天気も曇り空からどんより暗くなってきたような・・・。
そこへ前から農家のおばちゃんがやってきたので、
”おばちゃん!修道院って本当にこの辺にあるの??!!”と、
すがるように聞くと、
”大丈夫、この道まっすぐよ~。大変だけど頑張って!”との返事。
え~~、まっすぐって、ずっと先まで景色同じじゃん・・・。
でも歩きましたよ。小雨が降り出してきても、牛に至近距離で”モ~”と鳴かれても、上り坂になってきても、友人との会話がなくなってきても。
さて、無事に着くのでしょうか。
次回へ続く。